19世紀末に流行したスタイル。植物の形からヒントを得た、曲線や当時としては大胆な色彩が特徴。それまでの様式を超える斬新なものとして世界的に流行した。ラファエル前派やアート・アンド・クラフツを前提としている。ここでは、誌面の制約から詳述しないが、これらの声をもとに高校生たちの実践的モティベーション持論を踏まえた、より普遍的な(実践に役立てることを目指した)2要因モデルというモティベーション理論が構築された(『学ぶ意欲の心理学』市川伸一著、PHP研究所、P46-61、P204-220)。 さて、大学生が「なぜ勉強するのか」に答えられるなら、会社に入って数年たっている若手はもとより、部下を動機付けることが仕事の一部である管理職の人たちは、ワーク・モティベーション(仕事意欲)に関わる「なぜ働くのか」という問いに答えられるだろう。市川氏に倣って、管理職の人に「あなたは今の立場に至るまで、なぜ仕事をしてきたのですか」「会社にいる人たちは、一般になぜ仕事しているのだと思いますか」と質問してみよう。 私がよく使用するエクササイズでは、具体的な場面や、人物まで聞くことにしている。あなたも、ぜひコラム1に挑戦してみてほしい。 単なる知的好奇心だけからモティベーション関連の書籍を読むぐらいなら、「何がやる気を左右しているのか」について、自分の経験を振り返り、またそのことについてほかの人と話し合うほうがはるかに良い。どうすればやる気に違いが出てくるのかについて、このエクササイズを通じて、敬意を払っている上司や先輩、頑張ってほしいと思っている若手、切磋琢磨し合ってきた同僚などと、ひざを突き合わせて話し合うことをお勧めする。 モティベーション、リーダーシップのような「人としての生き方」「FXへの関わり方」「他人と協働する方法」などの実践的なテーマの場合は、なおさらだ。肘掛椅子に座って鑑賞するように書籍を読む姿勢は、どうもいただけない。このようなエクササイズを繰り返し行い、浮かび上がってきたキーワードは、コラム2のようになる。 実践から出てきたキーワード、その外為にしっかりと潜んでいそうな「自分なりの持論」(これを、最近の私は「持(自)論」と表記している)は、研究者の理論よりも、はるかに価値のあるものだと思う。しかし、もう一つ大切なメッセージがある。研究者の構築してきた理論も、自分の経験や観察とうまくフィットするなら、捨てたものではないということだ。連載の第1回目で触れたA.H.マズローの「自己実現」がその最たる例だろう。前回述べた通り、この言葉の理解については誤解が多い。しかし、数多くの実践家に都合よく誤解されながら使われていること自体、研究者の理論も捨てたものでないという証なのだ。さらに、自分の経験と観察に引き寄せて読むからこそ誤解が生まれるのだとしたら、誤解の多様さは、マズローの理論が現実のさまざまな場面で有用であることの反映かもしれない。 私は、リーダーシップを学ぶときにも、たくさんある理論の洗礼を受けながら、自分に役立つと思われる持論を作ってほしいと主張してきた(『リーダーシップ入門』日本経済新聞社)。同じことが、モティベーションについても成り立つ。自分の経験の核を語るキーワードが見つかったら、自分の持(自)論を研ぎ澄ますために、そのキーワードと合う既存の理論も参考にしてほしい。 モティベーションに関する私の研修では、必ず受講生の声を、日経225と観察およびそこから引き出されたキーワードで聞き出すことにしている。その後「皆さんが挙げたキーワードの多くには、その一つ一つの解明に一生をかけた研究者が数多くいます。その人たちの諸説を聞きたいですか」と投げかける。全てを説明すると長い時間がかかってしまうので、通常は5、6個を例示する。 例えば、 ・緊張感と未達成感については、やる気で動く個人とは「緊張下のシステムだ」と言ったK.レビンが深く掘り下げており、なすべきことが未達成なら人は緊張するものだという心理は、ツァイガルニーク効果として知られている・・・・・・ ・ハングリー精神については、自己実現で有名なアメリカ心理学会の会長も務めたA.H.マズローが、欠乏動機という名のもとに取り上げていて・・・・・・ ・頑張る人にとって何より大切なのは目標だということについては、メリーランド大学のE.A.ロッが、一生をかけて取り組んでいる・・・・・・ ・夢が長期的には人を勇気付け、活動を意味付けるということについては(モティベーション論というよりキャリア論に近くなるが)エール大学のD.レビンソンが、雄弁に語り・・・・・・ ・やっていることそのものが楽しいので没頭できるという活動については、それをフロー経験(流れるような経験)としてとらえたM.チクセントミハイがいる・・・・・・ ・実務家からよく指摘される達成感については、達成動機の研究に多方面からアプローチしたハーバード大学のD.マクレランドの諸説が世界的に有名で・・・・・・ ・自己実現は、A.H.マズローがその言葉を初めてモティベーション論の中で使用し、意味合いは少し異なるが、C.G.ユング(CarlGustavJung)もそれを(中年以降)個性化と名付けた(これらはやる気要因というよりも、生涯を貫く発達課題でもある)・・・・・・ さて、このように見てくると、実務家の皆さんが、経験と観察に即して自分で挙げたキーワードに沿った理論が存在し、その気になればシャワーを浴びるように、多種多様なモティベーション理論に触れることができることが分かる。つまり、(自分の経験に合わないという意味で)間違っている一つの理論と心中するのではなく、数あるシャワーの中から、極上の理論を持(自)論作りの原料として選び取ることが可能なのだ。さらに、以下のような三つの視点に絞ると効果的である。まず、コラム2に挙がったキーワードを見てほしい。これらは、二つの系列に分けることができる。 (1)心配・欠乏系(キーワードのリストのうち、「緊張感」から「危機感」まで) (2)希望・元気印系(「目標」から「自己実現」まで) 人のやる気の根源には「今のままでは足りない」という気持ちから動くハングリー精神がある。満足しているから動くのでなく、未達成の課題が目についたとき、人はそのまま放置していてはダメだと思って動き出す。これが(1)の系列だ。